近年,量子の基礎に対する関心が増加しています.その背景には,量子情報科学の発展が一因として挙げられます.Bell不等式の破れなど,従来は科学哲学の領域に留まっていたものが,量子テレポーテーションの本質であったり,量子暗号の安全性,量子計算の速度向上の根拠ともなることが明らかになり,情報的な量子基礎の見直しが世界的に行われています.時代の変遷とともに,量子基礎論の研究への敷居が下がり,多くの若者が自信を持って量子基礎について議論できる風潮が形成されてきたのは喜ばしいことです.しかし,我が国においては,量子基礎論の研究会が不足しており,特に若者が気軽に発表できる場所が少ないのが現状です.研究会「Quantum Foundations(略してQF)」は,そうしたニーズを満たすために2024年設立されました.
2024年3月11,12日に行われた第一回目のQF24は,18名の口頭発表(ポスター12名),参加者80名+オンライン参加者100名を超える参加者に恵まれ,量子基礎論への高い関心を改めて確認する機会となりました.これを受け,2025年3月10,11日に第二回目となるQF25を開催いたします.
キーワード: 量子力学の解釈,観測問題,不確定性,実験形而上学,量子非局所性,エンタングルメント,量子測定,量子開放系,不可逆性,一般確率論,確率概念の基礎,量子力学(場の量子論)の数学的定式化,EPRパラドックス,Bellの定理,文脈依存性,シュレーディンガーの猫,ウィグナーの友人,弱値,情報と測定,乱数,情報熱力学,量子暗号,量子通信,量子計算,量子重力,量子宇宙論,因果律,時間,など